この季節になると、引っ越しをしている人がチラホラ。
進学や就職、転勤などで、お掃除業界も繁忙期を迎えます。
引っ越しの際は、敷金・礼金・前家賃など費用の負担が大きく家計にも負担になります。
安心の担保の為に納めている敷金なのに、退去する際にトラブルになるケースがあると聞きました。
入居している際にキレイに使うことを心掛けていたのに、退去時に管理会社から20万円請求され驚いたという。
(神奈川県)
国民生活センターによると敷金返還トラブルによる相談件数は2020年度に約1万2000件。
『貸主側が返還時の原状回復費用と称して、高額の負担を求めるケースが目立つ』といいます。
賃貸住宅で退去する時に、入居者が負担するのは「通常の使用による損耗を超えた部分」だけです。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を確認してみましょう。
例)入居者負担なし
◇家具の設置による床の凹み
◇畳の変色
◇壁の画鋲の穴
◇破損していない網戸の張替え
※通常の使用で発生する消耗は家賃に含まれる
例)入居者負担あり
◆喫煙による壁紙のヤニ汚れや変色、匂い
◆ペットによる柱の引っかき傷
◆下地の張替えが必要な釘穴や台所のひどい油汚れ
◆落書き
上記のように入居者が負担すべき場合でも、全面的に負担する必要が無い場合もあります。
例えば壁紙も一部が汚れていた場合、対象の一面を交換すれば、その費用まででOK。
色を統一する必要があると言った全面的な張替えは本来認められません。
床の汚れや傷もその箇所の張替え費用が原則となっています。
また、ものによって経過年数や耐用年数も考慮しないといけないので、補修箇所の素材や特性を確認して対応しましょう。
よく確認したいのが契約書に書いてある特約です。ガイドラインを超えた範囲の請求が明記されていると、支払う事が原則になるようです。
よくあるのが、ハウスクリーニングの特約で「退去時にはハウスクリーニング代〇万円を負担する」といったもの。
物件によっては壁紙や畳を替える費用を請求する内容もあるようです。
実際に退去する場合は、原状回復の請求内容を確認しましょう。ガイドラインの沿っていないものは交渉で金額が変わる可能性があります。
貸主側も国交省のガイドラインを知らずに請求することもあるみたいです。
それでも一方的に請求される場合は消費者センターに相談するのも一つの手。
年々、人口減少と空き家の増加、新築物件の建設の影響で競争原理が働き、初期費用の価格競争が進んでいます。
敷金が無い物件でも、入居時に自身で損耗部分を写真に保存して退去時に交渉できる材料として用意しておくことも有効です。